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11枚の図表で辿る「島根スサノオマジック」の3シーズン

*2022/4/16に書いた記事の引越しです。

今回の題材は、B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22に駒を進めた島根スサノオマジックがどう変わったのかについて。

今季は、安藤 誓哉選手・金丸 晃輔選手・ニック・ケイ選手の3選手が新たに加わり、ニュージーランド代表HCも務めたポール・ヘナレHCが就任しました。

まずは、今季のスタッツ(4/13開催試合終了時)と昨季のスタッツの比較から。


今季はeFG%が伸び率+8.2%で、TO%が縮小率24.5%となっていて、攻撃においてはシュート機会を増やしつつ、攻撃1回あたりの得点も向上させることに成功しています。守備面では、相手チームのeFG%を下げつつ・相手チームのTO%(シュートを打たせない割合)を上げることに成功しています。

FTR・ORB%は下がっていますが、相手チームのFTRは抑えていて、DRB%は上がっています。

更に細かい数字を見ていきましょう。



得点は昨季比で+9.1(伸び率11.8%)。伸び率で見ると、一番上がったのは3点シュート成功数で、一番下がったのはターンオーバー。

■ターンオーバーが減った = シュート本数が増えた
■シュートの配分を3点シュートに寄せた
■2点シュート、フリースロー本数は10%近く減らしているものの、成功率で補っている

ということが分かります。


ターンオーバーが減ったことは失点面でも良い影響を及ぼしています(ターンオーバーからの失点-3.8)。守備面では3点シュートを打たれる機会を減らしています。2点シュートを打たれる機会は4.3回増えていますが、フリースローは2.2本減らしています。一方で、2点シュート被成功率は上がっていて、ペイントエリアでの失点は4.5点、速攻からの失点は1.9点上がっています。

昨季と比べてどう変わったのかは見えてきましたが、今季の数字が他のチームと比べて高いのかどうかも気になると思います。


FTR以外は平均を超えていて、TO%はリーグ最少です。


攻撃では3点シュートを多投していることが分かります。3点シュート成功数は2番目の数字ですが、試投数も2番目に高く、成功率は平均を下回ります。一方で、2点シュート成功率はリーグ2番目の高さで、セカンドチャンスからの得点も3番目に高い数字を残しています。


守備では3点シュートによる失点と、ターンオーバーからの失点を抑えていることが分かります。一方で、2点シュート被成功率は平均よりも高く、攻撃面では3点シュート成功率・守備面では2点シュート被成功率が伸び代と言えます。

次に、こちらのグラフをご覧ください。


21-22シーズンは20-21シーズンよりも勝率を3割弱上げていますが、20-21シーズンでも19-20シーズンから勝率を2割弱積み上げています。今季の島根には代表経験のある3選手と1HCが加わり、勝率の大幅な向上に寄与していることは確かだと思いますが、彼らの素晴らしいスキルや経験が存分に発揮される土台もしっかりしていたからこその勝率.750だとも思っています。

次に、19-20シーズンと20-21シーズンで、チームがどう変わっていたのかと、20-21シーズンを終えての課題は何だったのかに迫ります。



4Factorsから見えてくるのは、FTRとORB%を大きく上げていること。また、相手のTO%は上がっていますが、相手のFTRも上がっていて、激しい守備をしつつファウルが嵩むようになっていたことが垣間見えます。

更に細かい数字も見ていきましょう。


フリースロー・オフェンスリバウンドが増えていることから、ゴール下での強さが増したことが窺えます。一方で、アシスト減・ターンオーバー増と3点シュート関係の3項目が軒並み下がっていました。


守備では3点シュートでの失点と、フリースローでの失点が上がっていて、全体で見ても失点は1.1点増えていました。

相対評価も見てみると、4Factorsで平均よりも良い数字を残していたのはORB%と相手チームのTO%の2項目。



オフェンスリバウンドで攻撃回数を増やしつつ、相手のターンオーバーを誘発してシュートを打たれる回数を抑えていました。一方で、自分たちのターンオーバーが多かったことも課題で、偏差値換算でも40を切っていました(低い方が良いという判定)。



この表から見えてくる主要な改善点は、
■3点シュート成功率(リーグ最少)
■3点シュート被成功率(2番目に高い)
■ターンオーバー(3番目に高く、そこからの失点も3番目に高い)

の3点です。偏差値換算で60を超えていた「速攻からの得点」は19-20シーズンとの比較でも3.1点上がっていて、フリースロー獲得数も19-20シーズンよりも6.0本増えていて、リングに向かう推進力という強みも秘めていたことが窺えます。

今季はターンオーバーがリーグ最少に改善して、3点シュート被成功率も5番目に低い数字に変わっています。また、3点シュート成功率は平均に迫る数字に改善しました。

20-21シーズンで手にした武器はそのままに、課題を改善したからこその勝率.750ということが見えてきました。

強さだけでなく、遊びゴコロも併せ持つチームであったり、

地元出身の選手を武者修行に出していたり

と今後の動向からも目が離せないチームですし、CSでの活躍にも期待が高まります。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

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